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猫鼠男episode0 ~私が日藝に入った理由~

  • 2010年7月 3日 01:15

それはまだ猫鼠男というあだ名を日藝で呼ばれることなど露も知らずにのほほんのほほんと高校生活を送っていた二年前の話。

江古田校舎勝手に潜入という大罪から日藝を目指すことに決めた私は勉強などアウトオブ眼中であった生意気な18歳である。日々をだらだらと過ごし、なんとかなるだろうという根拠のない自信だけで受験だけでなく人生もなめきっていた堕落人間と化していた。そんな恥の多い人生を送ってきた猫鼠男の前に、転機はどこからともなくころころとやってきた。

それはある人からの「二人で航空公園に行きませんか?」という一通のメール。

航空公園とは所沢校舎バス停横にある、バカでかい公園のことであり、演劇学科が百人どろけいをやったり、放送学科が一週間野宿ドキュメンタリーと撮ったりと様々な日藝逸話が生まれた、日藝生にはなじみの深い公園のことである。

このメールの送り主こそ、これから私が話す淡い恋物語の相手役であり
、この時互いに日藝を目指す同志であった女性である。
仮に名前は「ジョボ」としておこう。

ジョボのことをただの日藝目指し仲間としか思ってなかった私は、この誘いを不思議に思い、警戒した。
季節は今と同じような夏。くそ暑い炎天下の中、所沢にあるただ広いだけの公園に行くなんて正気の沙汰ではない。行く奴など、暑さに頭がやられたか、ただの阿呆である。

ジョボの見た目はそんな阿呆には見えない。むしろ凛とした優等生のようであり、おそらく美人の部類に入る。

私は少し前に確実といわれていた生徒会長との恋に敗れ、傷心だったためにこのデートのお誘いを受けてしまった。
今になって思えば生徒会長への失恋はこの時のための布石だったのかもしれない。


そんなこんなで、ジョボと私の二人は航空公園にいき、何故か4時間公園内を彷徨い歩くという偉業ならぬ珍業を成し遂げる。。
常人では2時間で死の行軍と化していた炎天下の中で、ジョボも私もなんでもないように航空公園を三周くらいしていた。

歩きまくって根を挙げるのをジョボは待っていたのだと後に判明する。私も少しそれを待っていた。

そんな阿呆による阿呆な意地の張り合いの最中、二人の眼の前に現れたのは航空公園内にあるミューズという施設。

ミューズとは所沢にはもったいないほどのコンサートホールを完備した複合施設であり、毎日毎日何かしらイベントやる所沢市民の憩いの場にして、密に私が「所沢のブロードウェイ」と呼んでいるおもしろスポットのことである。

その日もイベントと工事を行っていたミューズにこともあろうに潜入を試みようとするおろかものがいる。

無論、それはジョボと私である。

抜け足差し足忍び足で奥へとぐんぐん進む二人。ばれてるかばれていなかは分からないが、少なくとも挙動不審ではあった二人。
気分はミッションインポッシブルであった。

コンサートホール前入口までたどり着いた二人、普通ならここまでこれただけでも上出来であり、というか犯罪である。

まさか開くわけないと思いつつ扉をひねってみると

扉が開いた。

一応言っておくがこれは異常である。本来ならば入れるはずもないコンサートホールに入れたのだから。

二千人規模の。

俗にシューボックス型と呼ばれる形をしているそのコンサートホールはかつてのだめカンタービレにも使われた由緒正しいコンサートホールであり、どこまでも規則正しく並んだ客席に私の家がすっぽり収まるくらいの舞台、そして中でも目を引く巨大過ぎるオルガンが一番奥に鎮座し、ホール独特の重苦しさと効きすぎなくらい寒いエアコンと圧倒的な光景が私たちを1分間そこに棒立ちにさせた。

本当にミッションインポッシブルなことを成し遂げてしまったという罪悪間が二人を支配する。
人がちっぽけだということを実感するくらい広い空間に男女がぽつんと二名。
どきどきとわくわくと不安を抱えながら二人でこっそりと一番奥の席に座り、日藝でのキャンパスライフを妄想し、ひそひそ語りあった。

事実とは小説よりも奇であり、神様は時に面白いほど粋でドラマチックな演出をしてくれる。

これこそ運命だ。
私はそう思い。そして、語り合ううちに、私はジョボに恋をした。

この後、ジョボと付き合い始めたのは言うまでもなく。
それから先を語るのはある種ののろけに入るのでやめておくことにする。
さらには別れたことまでいうのはさすがに言いすぎであるのでこれも割愛。

私とジョボはこのコンサートホールの中で日藝に絶対入ろうと決め,指きりをした。
この指きりほど私の受験熱に火をくべたものはない。
私はその後人が変わったように勉強したのは当然の流れであった。

ジョボとの関係がなければ、今こうやって美大日記を書くことなどなく、ただの堕落人間かもしくは普通に教員をや公務員を目指す大学生になっていたかもしれない。

彼女も今日藝生であり、同じ二年生ある

今はお互い違う学科にいて、違う道を進んでいる。
話もせず、会ってもあいさつもしない。

もはや関わることなんて二度とないだろうなぁ…と思うと時々胸がツンとするが、それもしょうがない。
それが運命である。

思えばずいぶん遠くまできたもので、そしてずいぶん遠く離れ離れになったものである。
いつかまた道が交差する時がくる運命を期待しつつ。

ぐだぐだながらに私の恋話はこれにて終了。

Comments:3

マイク 2010年7月 3日 21:40

なんか、イイですね^∀^

アジアンテイスト 2010年7月 4日 02:03

ついに始まりましたね、このシリーズ。笑
だれにでも恋話はあると思いますが、これは面白い^^
かんどう的なepisodeですね~、とても羨ましいです。
ん~続きが楽しみです!!また期待してます。

スピカ 2010年7月 5日 05:02

この話はかれこれ五回くらい聞いたぜ。結局まだ卒業してないんですか?

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