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プレゼントは押入れのなかです。

  • 2010年12月22日 12:36


今年も残すところあと10日。

こまったもので30才を過ぎたころから月日が過ぎていくスピードがどんどん加速してきてる。

毎年同じことが巡ってくる大学というところで働いていると、
その年に起こった出来事が、今年のことだったのか、または昨年のことだったのか、
さらには一昨年のことだったのかも分からなくなることがある。

それが分からなくなるってことは、
毎年同じことを繰り返しているだけで、
あんまり前進していってないということなのかも。。。
なんてことを年末が近づくたびに考えているような。

今年もいろいろあったはずなんだけどなー(笑

今回は、今年聞いた中で印象に残ったレクチャーのこと。というかメモだな。

場所は信州にある某予備校。講師は造形大の絵画の有吉先生。
タイトルは「美術表現と社会との関係について」と少し堅い感じでしたが、
有吉先生の制作なども交え、美術表現とは?というかなり深いテーマを分かりやすく説明してくれました。

大まかな内容としては、そもそも人間にとって、表現するとこ(表現行為)とはどんなものなのか?
表現とは、本人が意識しているのかしていないのかを別にして、
人が伝えたい何かを、何らかの方法で誰かに発信する行為。

それは話しかけること だったり、文字にしてみること、
または身振り手振りのように体を動かして伝えることなど、ありとあらゆる方法がある。
こんなようなことを、とある講演会で京都造形の千住博さんも話してたっけ。

これを美術表現に置き換えると、
作者が伝えたい何かを、作品を通して誰かに発信する行為となる。

それを専門的な言葉で言うとこんなことらしい。

作者が伝えたいコンテンツ(意味[内容])を、
意味の乗り物であるコンテナ(表現形式=作品)に乗っけて鑑賞者に送り出すこと。

つまり、美術表現とは、作者による意識的な発信。
そして作者は、自分の思いが作品に反映されているかということに執着する。
そのため一般的に作者は、作品の内面を表現しているんだと考えられがち。

そこで生まれてくる疑問が、美術表現って単なる自己表現なのか?ということ。

近代以前の絵画では、キリスト教絵画に代表されるように、
伝えるべき意味内容(メッセージ)は作者の外部にあって、
作者は、すでに作者の外部に用意された意味内容を絵画という形式に翻訳する立場にあった。

そもそも作家自身も、その時代や社会によって作られているのだから、
作者の発想自体も作者の内側からのみ生まれるものではなくって、
外部との関係において成り立っていると考える方が自然。

そう考えると、現代の作者は、自分の内側だけではなく、
外部とのさまざまな関係のなかで作品を 発想し制作しているということになる。

そうして、マルセル・デュシャンの「泉(便器)」や、
マンレイの「オブジェ」「解剖台のミシンと蝙蝠傘の偶然の出会いのように美しい」など、
意味や意味づけに対抗する抵抗としての美術表現として生まれ。

ジェニー・ホルツァーの「自明の理」「哀歌」などの、
現代社会やそこに生きる人々の問題を指摘する表現も生まれた。

最近では、越後妻有の「大地の芸術祭」をはじめ、
「わたらせアートプロジェクト」「甑島で、つくる。」などのように、
地域における新たな関係性を探る活動が起こるようになってきた。

そう考えると、政治や社会、思想など、
環境の変化を敏感に察知して発信していくことが、アーティストの社会的使命の1つでもあると考えられる。

ということは、いろんなことに問題意識を持って、経験を積んでいくことがアーティストにも大切だっていうことですね。
美大生にともなれば自覚 していることかも知れませんが、
受験生の皆さんにはそういった意識を持って、美大を目指し受験にも望んでもらいたいなと思います。

と。まあ、箇条書きに近い状態で分かり難いかもしれませんが、
受験生向けに実施しているレクチャーをメモしたりして、一緒に勉強させてもらっているという訳です(笑


そろそろクリスマス。

押入れのなかに隠してあるプレゼントを、子どもがかくれんぼでもして見つけませんようにと願う、
朝のくしゃみ一発でギックリ腰になりかけている情けないサンタなのです。

 

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